blogのつぶやきから      

― 「緑の世界にて」 ―

 どこまで行っても続く緑の世界。視覚に頼ってここまで歩いてきたが、やはりそれだけではこの旅路は乗り切れそうにない、ということが数十分前からはっきりと分かった。
――仕方ないか…。
彼は内心呟くと、少し明るい森の中でも一番大きい樹の根元に腰掛けた。彼の両の腕でも抱え切れないほどの幹に寄り掛かり軽く目を閉じる。
 さわさわという風の音の中に、かすかな水の音。大樹が大地から吸い上げる水の音が、エルフの彼の尖った耳には届いていた。
 その微かな音を耳でたどる。左前方、これから進もうとしている道筋よりかなり北寄りの方角に進めば、森の切れ目に出られるだろう。その方角には川、もしくは湖があるはずである。
 彼は目を開けた。とりあえず進むべき道は見つかった。しかし慣れない感覚での歩行にいささか疲れた彼は膝に頬杖をついて、しばらく森に響く風の音に耳を傾けて彼流の休憩をとることにした。



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