blogのつぶやきから      

― 電車 ―








帰りの電車で、君に会った
読みかけのマンガを持つ手が止まった

彼女はまだ、僕に気付かない

プレーヤーの音量を絞って
電車の雑音に耳を傾ける
金属の立てる音すらも
今日は愛おしい

彼女は一人で吊り革につかまっている

ちっとも目に入らないマンガを視界の隅に
彼女のカバンにぶら下がった
ちょっと控えめなストラップを見ていた
夕日が反射してちょっと眩しい

車内アナウンスが僕の降りる駅を告げる
ちょっと乱暴に止まった電車のドアが開く

彼女はまだ、僕に気付かない

電車が発車する
僕の目の前を通過する彼女が
一瞬こっちを見たような気がした



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