blogのつぶやきから      

― 道路 ―





 例えば一人で歩いているとき、誰に呼ばれたわけでもないのに何気なく振り返ってしまうことがある。
 ちょっと仕事でトラブって落ち込んだ気分だった。いつもは急ぎ足で通り過ぎる道で、何となく振り返ったとき目に飛び込んできたのは、たまたま車の途切れた真っ直ぐな道路とオレンジ色の街灯だった。
 ちょっと冷えた空気と真っすぐな光の行列に、何故か肩の力が抜け楽になったような気がした。誰かが呼んだような気がしたのも、答えを探している自分の心が求めていたからなのだろうか。
 東京にはそんな場所が幾つもある。ここはそのひとつ。新しい道路は人々の思いを吸収しやすいからだ。嬉しい気持ちも嫌な気分も、全て平等に写し取ってゆく。だから気分を変えたかったら新しい道路に行くといい。
 ただし、悪意ばかり吸い取った道路は災いを呼ぶとも言うので程々に…。



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